
えー毎度バカバカしい話におつきあいを頂きます。
むかしは宿替えなんぞと申しましたが今のご時世そんな言葉はもう死語ってもんで、今どきは引っ越しなんぞとも言わずに、リロケーションなんていうむきもあるようでして、あたしなんぞがうっかり真似しようものなら舌を噛んでしまいます。
まあしかし俗に引っ越し貧乏なんて言葉もあるように宿替えのたんびにこれが古くなったから新調しなくっちゃ、このさいだからあれも買っておきましょうてな具合になにかと物入りなのは何処も今も昔も同じようでございます。
そのむかしバンコクでノラ公を拾った魔女姉さん、なんでも拾い集めるのが趣味なのか家を移るたびに家財も増えているようで、いままでは亭主のいない留守に宿替えをやってまいりましたが、今回ばかりは一人でやるには読んで字の如し荷が重すぎるようでございます。
「魔女姉さん小物や台所用品なんてどうするんだよ。箱がないじゃんか」
「プラスチック袋(ビニール袋)に入れるわよ、簡単でいいでしょ」
「おいおい。何を言ってるんですか姉さん」
「大丈夫よ、いままでもそれでやってきたんだから」
「今回はアユタヤですよアユタヤ、今までのように町内をちょこっと移動するのとわけが違うんだよ、90キロ先ですよ90キロ。荷台で壊れたらどうするんですか、それこそあんたの好きな言葉、もったいないでしょう、とちゃいまんのん」
あたしは半分呆れてしまった。
タイ人は大体が楽天的なのはわかる。しかしうちの魔女殿は何事も熟慮してから動く慎重派のはずだったのに、なんだそれは、割れ物注意までビニール袋に詰めるってか。
「日本じゃ引っ越しってのはまず段ボール箱を用意してそれに詰める。上積みできるし壊れるのもふせげるでしょ。運ぶのも簡単だ。手伝いに来てくれる人たちのことも考えないとね」
久しぶりに真剣に文句を言う亭主をみて、一瞬フグになりかけたがもっともだと理解したらしい。
さっそくあちこちに連絡して段ボール箱の調達を始めた。
まったく何を考えてるんだ。
このあたりが国の違いかもしれんな・・・と思いながら、まあしかし今までバンコクで三度の引っ越し、すべて任せっきりで留守にしていたのだからと自分に言い聞かせる。
今回は頑張らないと。
なんせ彼女は生まれてずっと住んできたバンコクから他の県へ移動するわけで、なにかにつけ気持ちの揺れも大きいに違いない。できるだけやさしくサポートしないといけない。
ああ、なんてよくできた旦那だこと。あたしが女ならこんないい男タイなんぞに放っておきはしないのにねえ。
相も変わらずのお気楽亭主、ひとりでワアワア言っております。
タイ版宿替えよりの一コマ。
お時間がまいりました本日はここまで。
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