へいへいドクター へいドクター
日々のドキュメント 旅 アジア一か月に一度のクリニック
とうとう病院通いの常連になってしまった。
自分だけは大丈夫という根拠のない自信で健康チェック以外に病院へ行ったのはもう何十年もむかしの話。
COVID19などの現状やインフルエンザ・ワクチンの接種についてあれこれ質問し、いつものことながら診察室滞在が長くなっていた。
突然ドクターが思い出したように、
「ああそうだちい公さん」
もちろんここは本名を呼んでいるのだが、
「ちょっとお聞きしたかったのですが、あなたは外国暮らしが長かったのですか」
あまり診察室で健康問題以外のプライベートを話すことはないだろうと思う。ここはまあ世間話だろうと気にしなかった。
「どうしてですか。私の日本語はおかしいですか?」
いやいや、そうじゃなくて、とドクターは顔の前で手を振って笑った。
「そうじゃなくてですね、ふと思っただけなんです」
「ほう。なかなかするどいなドクターは」
彼はあたしよりは少し若いだろうか、60歳になっていないと思われる。
話を聞いて笑った。
「いろいろな方がみえますがね、私のことをドクター、ドクターと呼ぶ方はいないもんで」
ああそうか、そうだった。
「でもまさかドクターに向かってお医者さんと呼ぶのは子供みたいで。いや冗談ですけどね」
それ以上あたしは何も言わなかった。二人とも笑ってしまったので細かい話をせずにすんだ。
たしかにこのドクターに一般的に日本人が使うであろう「先生」という呼び方をしなかった。
これはあたし自身のこだわりであって、日本人が教職者を含む特定の職業の者を先生と呼ぶのは長い社会的慣習があって、そのことを非難するものではない。
しかしあたし自身は、先生は教師、教授だけであり、子供あるいは生徒を教え導く以外の職業の者を先生とは呼ばないと決めている。
だから、おそらくかかりつけ医になるであろう医者も先生ではなくドクターと呼んでいる。
最後に彼に尋ねた。
「どうですか、ドクターと呼ばれるのは気になりますか」
彼は笑ってまた手を振った。

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