朝、どうも目の調子がよくない。
目薬をさしましょう。
あたしは座ったままでは目薬は使えない。いちど上向きに寝ころばないとだめ。
・・・どっこいしょ
動作にいちいち声が出るようになるのは老化現象だ、悲しいね。
あれ?!
ぽたぽたと目のあたりに薬が落ちてくる。いつもはプッシュしないと落ちないのに・・・
「いてっぇ!!!!!」
目にしみて痛い、尋常の痛さではない。
薄目でながめた指先。
「な、なんじゃこれは」
焦った。
手に持っていたのはスマホのクリーナー。おそらく中は工業用アルコールの類だろう。
あわてて洗面所に走った。
冷水で目を洗い急いで鏡を見る。メチルはそれこそ目がダメになる、もちろん飲んだ場合の話だったろうが、このときはそこまで頭がまわっていない。
様々なことが脳裏を走る。
目がダメになったらどうするのだ。
そのとき浮かんだのは映画「座頭市」、なんと発想の貧困なことか。
あわててほんとうの目薬を流し込んだ。
どうやら事なきを得たようだ。
目はまだ見えている。
嗚呼!! なんということだ。
ほかのことを考えながらの作業だった。
同時にいくつものことを考えられなくなったおしまいだなこりゃ。
