虫メガネと顕微鏡そして・・・

とあるブログを読んでいて虫メガネという記述が心に残った。
内容はともかく虫メガネという言葉が懐かしく響いた。
虫メガネか・・・・。
それを手に入れた最初は、後ろに投影される景色が逆さまになることに疑問を感じた。インターネットのない時代とはいえそのくらいのことは本で調べすぐに理解できた。
つぎにやったことは、多分親から教えられたのだろう、絶対に太陽を見てはいけないということ、その証明としての紙焼き、つまり紙の穴あけだった。
「お日様を見るとこのように目が焼けてしまうのよ」
そんなことだった。
何にでも興味をもつ子供だった。
親が夏休み前に顕微鏡を買ってくれた。おそらく夏の昆虫などの標本づくりに役立つかもしれないと思ったのかもしれない。お土産の中には注射器や防腐剤などの標本セットもあった。
しかし自分には顕微鏡がなによりだった。
どうしてかと今になって考えると、学校に上がる前に読んでいた数々の伝記絵本、その一冊に野口英世物語があったためかもしれない。
偉人伝のなかに出ていた顕微鏡がいま自分のものとして目の前にある。それはすごいことだった。まるで小学校の理科室が自宅に出来たような高揚した気分はどこかに記憶として残っている。
いま思えば本当におもちゃの粗末な顕微鏡だったが当時の子供には宝物にも匹敵した。
スライドガラスとカバーガラス、ピンセットなどがあって、とにかく何でも載せて覗いた。
おそらく倍率などもたいしたことはなかっただろうがそれでも葉っぱの葉脈などはくっきり見えた。
あれから何十年。
学者になることもなく文系で文字並べで飯を食ってきた男が一人。
目の前にあるのは細かい文字用の天眼鏡一個。