
またまた妹サクラから連絡。
「あんちゃん、あたいはショックでさ」
「なんだ財布でも落としたか」
「ちがうのよ、あんちゃん、ジュリーって知ってる」
「知ってるよ。沢田研二、タイガースじゃねえか」
あたしたちが子供のころ、小学生だったかグループサウンズ全盛期の頃のスターだ。
「今のジュリーって見たことある?」
「あるわけねえじゃん」
「もうひどいことになってるのよ」
「なにがさ」
「あんちゃんよりひどいジジィなんだ。あたいショックでさ」
(ザ・タイガース1967年2月デビュー 1971年解散。
その後1981年11月に再結成し数年に渡って活動。ボーカル沢田研二はソロで活躍した)
「バカ、なにがあんちゃんよりひどい、だ」
言ってはみたものの気になって写真を探してみた。
たしかに最近の写真では老けてはいるが年相応になっているだけで、そんなに嘆くことでもあるまい。
「あたいたちの年代にはスターだったのに。スターがあんな姿で出てきちゃいけないよ」
妹はそう言って嘆くが、そんなものか。
しかし一世を風靡したスターはつらいものだ。いつまでも追いかけられる。
天地真理さんしかり。いまだに追いかけられ、ネットには老けてしまった最近の写真まで。
あたしも学生時代、とくに高校生の頃はスターだった。
老いさらばえた姿を見せたくないので特に高校の同窓会には出ない。同時に、輝いていたあの時代の美しい彼女たちの今の姿も見たくない。
青春はキラキラと、あなたもそして君も、いつまでも輝いていてほしいのだ、勝手な話ではあるが。