今日はタイの話をしましょう。
日本から戻った魔女奥さんは元気にオフィスで頑張っています。実際頑張っているかどうかは知らないけれど、楽しくやっているようです。
いま彼女が通っている場所は広大な敷地に工場、倉庫などが点在している。
毎朝、太陽が顔を出す前に彼女は運動不足を補うために敷地内をウォーキングしている。普通に歩いても30分はかかるという。




別のセクションなどへ行くときはほとんど歩かずカートを使う。
総体的にタイ人は歩かない。ただのずぼらかなと昔は思ったが、太陽が出ている日中は歩くと危険な場合もある。
![カートで[1]](https://blog-imgs-100.fc2.com/i/s/a/isanwind/20181029123715495.jpg)
ランチタイム。
キャンティーンと呼ばれる社食、いってみればフードコートがある。
「アム行くわよ」
後輩に声をかけカートに乗る。
500メートルほどの距離、歩いても7,8分だが女性は日焼けも気にしなくてはならない。
食事をすませてオフィスに戻るときだった。あと半分ほどの距離まで来たとき、カートのスピードがダウンしてきた。
いくら踏みこんでもスピードが上がらない。
「アム、大変だわ」
「なになにどうしたの?」
「多分バッテリーよ」
「お姉さんチャージしてないの?」
「だって知らないものチャージの仕方なんて」
それでも惰性かどうかカートはノロノロと動き自分たちのオフィス近くまで戻ってきた。
しかしそこからが問題だった。スロープを上る必要がある。

「アム、降りて押しなさい」
「オーケー」
可哀そうな後輩は炎天下の中カートの後ろへ。
「ダメだわ、戻ってしまう、ガンバってアム!」
「はーい」
アムは必死に押している。
「キャア上がらない。もっと押してっ!」
「お姉さん、押してるよぉ、ギャぁ」
二人が大声で騒いでいる、その後方をバイクに乗ったクリーニングのメイドが笑いながら通り過ぎる。
「なんだよ、助けてって言えばよかったのに」
あたしが聞いた。
「だって恥ずかしいでしょ」
「そんな場合か」
「彼女はきっと私たちが遊んでいると思ったのかも」
「で結局どうなったんだよ」
「アムががんばってなんとか駐車スペースまで戻ったわ」
アムが言ったそうな。
「今日はもう午後から仕事にならないわ。ほんとに死ぬかと思った」
バッテリーの充電方法くらい覚えとかないと、
「いいのよ。男性従業員に頼んでおいたから」
魔女はこたえていない。涼しい顔とはこんなことを指すのかもしれない。