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    秋晴れの日に母を

    旅 日記 アジア タイ
    11 /09 2018

     雲ひとつないまさしく秋晴れの日。
     少し歩いてみることにした。
     仮住まいの町、こうしてゆっくり歩くのも久しぶりのような気がする。

     少し歩くと広い公園があってそばには老人保健施設がある。
     住まいから1キロ2キロ圏内に同様の施設がふたつある。
     この辺りを通ればすぐに母を思い出してしまう。どちらの施設にも世話になった。
     母が逝って来年は13回忌を迎えるから、その以前の話だ。

     このような施設は老人ホームではないからステイできても長くて2週間程度。だがその間は家族の負担も軽減できる。もちろん寝たきりになどになっていなければの話で、記憶では、寝たきりの状態になってしまってはこのような施設での受け入れはできなかったと思うが、昨今はどうなのだろう。

    DSC_0004_2018110712433045e.jpg


     ほんの数日のステイだとしても家族としてはやはり気になった。ひまをみては様子を見にゆくことが多かった。
     
     いつ訪ねても母は笑顔で息子を迎えてくれた。そしてすぐ言うことは「タバコが吸いたいよ」だった。
     それだけを楽しみに待っているようでもあった。

     車いすを押し外へ出る。
     缶コーヒーを買い、施設前のベンチでタバコに火をつけた。
     この施設はどうだ、食べ物はどうかなど、とりとめもない話をした。おしゃべりが好きな母だった。
     しかし早く家に帰りたいとはけっして言わなかった。それは今になって思えば、日頃なにかと面倒をかけている娘や息子への思いやりだったのかもしれない。

     あの日とおなじように今日もあたたかい日差しが降り注いでいる。
     腰を下ろした公園のベンチからかつて一緒にしゃべった付近が見渡せる。
     
     思いついて写真を撮った。
     そういえば妻もこの辺りを歩いたことがある。
    《良い天気だよ》
     妻に写真を送った。
     すぐに返事がきた。
    《ママがステイしていた場所ね。あなたと歩いたわね》
    《覚えていたのか》
     すると、こんな返事が、
    《Yes. I went with you and we bought yoghurt milk some convenience store because I want to drink too. Oishi desu ne.》

     何年前になるか、ある日の飲み物まで覚えていることに驚いた。

     ・・・もしかしたらあいつの頭には食い物だけがつまっているのかもしれん。
     そんなことを思って笑いそうになったとき、
    《あなたは忘れたの?》
    《いや覚えていますよ》
     あわてて返したが、あの日飲んだものなど言われるまで忘れていた。

     青い空に白い機体。着陸態勢になった飛行機が飛んでゆく。空港が近い。
     
    「いつかおふくろもタイへ行こうな」
    「行けるかな。行きたいね。でも遠いんでしょ」
    「車いすでも行けるさ。元気でさえいれば」

     そんなことも思い出してしまった。
     日差しが強くなった。
     



    コメント

    非公開コメント

    Re: こんにちは

    つばさぐも様 ありがとうございます。

    どうもいけません。
    近辺を歩くとつい思い出してしまいます。


    こんにちは

    とても優しくて
    懐かしくなる日記ですね。
    読んでいたら
    私の思い出もよみがえってきました( ´艸`)


    ちい公

    ようこそ! 
    空ゆく雲のようにいつも自由でありたい。もとノラのちい公がお届けするごく私的な日常と愛する国そして人々への思い