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    艶噺かエロ小話か寝室物語

    日々のドキュメント 旅  アジア 
    01 /09 2019


    落語 高座r



     例によっていつものばか旦那与太郎のお話になります。
     なんだよまたかよと舌打ちしながらちょいとだけおつきあいくださいまし。

     世の中にはどうしても理解できない納得できないそんな不可思議な現象が存在します。
     とは申しましても、あたまから信じなければそれはそれでなんてことはない話で片付くようなものがほとんどだそうでございます。

     今日のお話は、あるお家の寝室、いまふうに言いますとベッドルームってことになるのですが、皆さんは一生のうちどのくらいをここで過ごすと思われますかつまりどのくらい眠りますかってことなんです。

     一日の睡眠を3分の1の8時間とすれば平均寿命80年として26~27年は眠っているということになり、平均睡眠を6時間と考えれば人生の4分の1を眠って過ごすことになるわけです。
     
     ひとくちに人生何十年とか申しますが、そういった場合意外にも眠っている時間がかなり含まれていることを忘れている、そんなことはございませんか。

     睡眠も人生の一部であるとするならば、その間に見る夢もまた人生なのだと考えたほうがおもしろいじゃございませんか。

     ねえそこのおねえさん、おたくはいったいどんな夢を見るんでございますかね。きっと映画から抜け出たようなハンサムと手と手を取り合って、あなたとならどこまでも、なんてね、こんちくしょう。

     ひとり騒いでおりますおなじみの風来坊与太郎でございます。これでれっきとした所帯持ちときてるのですから世の中どうなってるのか、これまた不可思議、摩訶不思議ってやつでございます。

     世の中捨てる神あらばなんとかで、すっかり旦那ぶりも板についてきた与太郎でございます。
    「お、なんだもうこんな時間か」
     時計は夜の8時。
    「しかしなんだな、こんな時間に寝るなんて家はそうざらにあるもんじゃないだろ。田舎の百姓だってこの時間はテレビだろう。うちにはいないからいいようなものの鶏がいたら先に寝るなって文句を言うだろうよ」
     ぶつぶつ言いながらそれでも朝の早い女房のご機嫌を損ねてはと大人しく寝床へもぐりこむのでございます。

     さてそれから半時も経ったでしょうか。
     与太郎は夢を見ておりました。
     疲れていてもいなくても夢ってものは見るときにはみるものらしい。悩みがあってもなくても夢に現れるのは、とくに与太郎の場合は、立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花というぐあいで美人と相場がきまっているのでございます。

    「与太郎さん、あなたと約束したでしょ。だからこうしてここで待ってたんだよ」
    「約束ってなんだよ。数十年このかた女の人と約束なんぞ交わしたことなんか」
    「ふんそうかい、やっぱりお忘れになったんだね。薄情者だよあんたは」
     おんなが羽織っていた薄物をぱらりとおとす。白い肌が浮かんで見える。
    「おいおい待ってくれよ。マジで言ってるのかい姉さん」
     
     こんなおいしい話、こんなうまい展開はそうあるものではない。
     与太郎、最初は夢とわかっていたのだが、そんなことはどうでもよくなってきた。
    「すまねぇな嫁さん、ちょっと目をつぶってくれよ」

     そう思った矢先、
     ドン!!
     隣に寝ている嫁の手が肩口に飛んできたとわかるまで時間がかかった。

    「なにするんだ!」
     声に出してそう言うなり与太郎半身を起こした。
    「なに、あんたどうしたの?」
    「どうしたのって、お前」
    「またバカな夢でも見たのかいお前さん」
    「お、お前があたしを殴ったんだよ、夢じゃないよ。お前こそ何か悪い夢でも見たんだろう」
     
     女房はそれには応えず、
    「ああせっかくよく眠っていたのに浮気者の亭主のせいで目が覚めてしまったわ」

     その言葉に与太郎、その夜は朝まで一睡もできなかったそうな。




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    ちい公

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