ちから姫さん(力石に魅せられて 姫は今日も石探し)が教えて下さった。
いまお住まいの地域のスーパーではメイド・イン・タイランドのアジフライが売られていると。
周りを海に囲われた島国にすむ日本人にとって魚は日々の暮らしに必要不可欠ともいえる食材であろう。
たとえ海から離れた山里であったとしてもやはり海の幸はいつも食卓に並んでいた。人間の知恵は塩や自然の太陽光を利用することで長期保存を可能にしてきた。
そんな日本人だから外国に在住していてもスーパーや市場などに行けばやはり魚が気になる。
タイでいうと、同じアジアだからほとんどは見たことのある魚種が多い。地理的な関係で南の海に生息する色鮮やかな魚もあるが、タイでは淡水魚も多く売られている。
それによく話すことだが、サバはこちらではプラーサバになる。サバというのはもちろん日本語由来で、そのむかし食べ方を教えたのが日本の漁師だったという話がある。
先日ご紹介したが首のつけ根が曲がっているタイで人気の大衆魚プラートゥ。
味は洒落でなくアジによく似ている。しかしアジの仲間ではないらしい。尻尾にあるゼイゴ(うろこ)がない。科目的にはサバの仲間だという。

本題に戻ろう。
タイ産のアジフライと聞いて不思議に感じた。
というのもいままで記憶にあるかぎりタイの魚屋でアジを見たことがないのだ。前述のプラートゥが首が丸くなければアジに見えないこともないが、でも違う魚種だ。
そんなことを食事時に妻と話していた。市場に行ったらアジが売られていないか見てくれるようにと写真をみせておいた。
うちの女房殿はよくできた魔女さん。
次の日さっそく一匹の魚を持ち帰った。

もちろんこれがアジでないことは承知の上で買ってきてくれた。
これもプラートゥの仲間だという。名前が「プラートゥ・マン」というらしい。
首筋が真っすぐで一見したところアジに見えないこともない。
「マンというのは、身がモチモチして美味しいというようなことよ」
やはり尻尾のゼイゴがないからアジではない。独特の模様がないからサバでもない。
ちから姫さんがご覧になったタイ産というのはもしかすると加工したのがタイの工場ですよという意味かもしれない。
でもバンコクあたりの少し高めのスーパーなどではアジが売られている可能性もなきにしもあらずで、このアジにまつわる疑問はしばらく続きそうだ。