
さあ何をみてさしあげましょうか。
何をっていわれてもなあ。こちとら大して運も残ってないだろうし、未来と言ったっていまさらという気もしないでもない。
「じゃ女運でも」
あたしの言葉が終わらないうちにバシッと横合いからパンチがとんできた。
「冗談ですよ冗談。こんなできた奥さんがいるのですから女運も全部使い切ってしまったのはようくわかってるんですよ、はい」
「わかってるのならよろしい」
正面の占い姉さんより隣に座る奥ちゃまのほうが騒がしい。
「なんでもいいから適当にカードを引いてみて、それでなんか言ってみてくださいよ。当たっていたら拍手しますから」
「・・・そんなむつかしいことは」
「だいたいタロットって何枚くらいあるの。トランプよりは多いみたいだね」
「う~ん、メインは22枚なんだけど合計で、え~と何枚だったかな」
そばにあった手引書を開いて、
「全部で78枚よ」
なんとも頼りない占い師だ。
それもそのはず。
このフォーチュンテラー、修行をはじめたばかり。ちい公が客モデルにされたのだ。
「とにかくさ、ボクはあなたがやるタロット占いってのに興味があるんだから、はやくマスターしてちょうだいよね」
「昨日からバンコクへ行ってきて少し眠いのよ。頭が冴えないの」
「とにかく早いうちにちゃんとやってみせてよ。そうすれば何バーツか稼げるじゃん」
「いいのよ。ちい公ならお好み焼き一枚でみるわよ」

