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    亭主は空を飛ぶ

    日々のドキュメント 旅  アジア 
    02 /02 2019
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    2月2日午前9時よりのネット接続障害は日本時間」11時に回復した模様です。
    一部の皆様には当方訪問履歴が重複していると思われますが
    ランキングプッシュの都合上致し方なくご了解くださいませ。





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     午前6時過ぎになった。
     山の朝は冷えていた。

     足元からゆっくり上がってきた冷気におもわず身震いをしながら亭主は、
    ・・・これは武者震いだろうか。
     そう思ってから、ひとりで笑った。
    ・・・まるで戦いにゆくみたいだ。

     魔女はどこからか数本の棒を下げてきた。
    「山は何が出るかわからないからね。この長い竹の杖はあなた、そしてこれは、あれ?まだ来ないわね」
    「誰がくるの?」
    「アムよ」
    「アムちゃんも呼んだのか、たいそうな話だな、朝の散歩に」

    「あなた、なに言ってるの」
     のんびりした亭主に魔女が呆れたような顔を向けた。
    「あなたに憑いている得体のしれないものは朝の陽の力があれば私だけでなんとかなると思うわ。だけど万一のとき、力を使い果たした私になにかあったときのためにアムを呼んだの」
    「彼女はタロット占い以外にそんなパワーがあったのか」
    「そうじゃないわ。私が倒れてしまったらどうするの。あの子は力持ちだから役に立つのよ」
    「なんじゃそれは」

     杖をつきながら山を登る。
     たいして急峻な山でもなく朝の散歩そのものだった。

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    「日の出は何時だった?」
     アムに尋ねる魔女。
    「6時45分。間もなくよ」
    「そう。ではこのあたりでいいわ」
     今度は亭主に向かって、
    「あなたはここに座って。あの山、朝日が出てくる方向にね」
    「ほう、なにがはじまるんだ」
     とは言ったが、面白そうだとは言えなかった。なぜなら魔女の顔がいつにもまして険しくなっていたからだ。


    「นะโม ตัสสะ ภะคะวะโต อะระหะโต สัมมา สัมพุท ธัสสะ・ナモータッサパカワトーアラハトーサンマーサンプットタサ」
     どこかで聞いたような呪文だ。いや正確にはタイ仏教の祈りの言葉だ。
     むかしのテレビゲームの復活の呪文に似ていると亭主は思ったが、そんな軽口が許されない状況であることはなんとなく理解できた。

     はるか向こうに太陽があらわれた。
     照らされた顔があたたかくなる。

    「ナモータッサパカワトーアラハトーサンマーサンプットタサ~」

     ふわふわと身体が軽くなってゆく。

    ・・・おっ、座っているあたしが見える、浮かんでいるのか、いやちがう、なんだこれ、幽体離脱か、まさか・・・。


    「นะโม ตัสสะ ภะคะวะโต อะระหะโต สัมมา สัมพุท ธัสสะ」

     亭主は気づかなかった。
     地面から数センチ浮き上がった彼の体から白い霧のようなものが天に向かっていった。

    「นะโม ตัสสะ ภะคะวะโต อะระหะโต สัมมา สัมพุท ธัสสะ~ ナモータッサパカワトーアラハトーサンマーサンプットタサ~」

     魔女の声だけが山々に木霊してゆく。



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    ちい公

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    空ゆく雲のようにいつも自由でありたい。もとノラのちい公がお届けするごく私的な日常と愛する国そして人々への思い