店を開いたのはよいが滅多に客が来ないちい公食堂。
「こんにちは」
「お、いらっしゃい」
山でも歩いてきたのだろうか。汗だくで薄汚れた格好。
久しぶりの日本人だと思ったら、どこかで見たお顔じゃありませんか。
とうとう村を追い出されてタイへ逃げてきたのかもしれない。
いろいろ聞きたいが日本では個人情報とやらがなかなからしいのでやめておこう。
「ヌードルが食べたい」
「どんな? タイの定番インスタント、ママーヌードルか、ニッシンチキンラーメンもあるよ」
「インスタントじゃなくてあれだよあれ」
「アレアレなんてヌードルは置いてないよ」
「じゃなくて、カオソーイ」
「カ、カオソーイ」
店主ちい公は驚いた声を出す。
クイテオ(厳密に発音を書けばクァイティアウ)ならよく出る定番ヌードルだがカオソーイなんて言う客はアユタヤにはいない。
それもそのはずでカオソーイは北方、チェンマイ、チェンライ方面の食べ物。
おかしな食べ物でカオソーイのカオとはご飯のことを意味するのだがこれはヌードルなのだ。麺の成分からこのような名がついたのかもしれないがあたしは知らない。
・・・たまに日本人が来たと喜んだら、カオソーイが食いたいとは・・・ブツブツブツ・・・

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