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    Prince of Showa 

    日々のドキュメント 旅  アジア 
    04 /02 2019


      遠い記憶である。
     まだ学校にも行ってなかった頃の記憶だろうが、なぜか鮮明に残っている。
      
     これは庶民のそれも貧しさを絵に描いたような、しかし気位だけは保ち続けようとした母親の記憶といってよい。

     時の皇太子のロマンスで国全体が春の陽気に包まれていたようなそんな時代。もちろんそれは幼い男の子に理解できるはずもなく後年に様々な知識が合わさって記憶の箱に納めらたものだ。



    v.jpg
     


     母が町で買ってきた一枚のセーター。
     このようなVネックのセーター。
     
     これを彼女は「皇太子ブーム」と呼んだ。
     後に調べると皇太子とのロマンスで美智子妃の「ミッチーブーム」という言葉がある。けれども皇太子ブームではなかった。

     このセーターはおそらく時の皇太子のテニスルックにあやかったものだろう。

     どこかへ出かけるときだったろう。
     母が言った。
    「今日は皇太子ブームを着なさい」
     
     母のなかではあのセーターはただのテニスルックではなく皇太子ブームというブランドだったのかもしれない。

     激しい東京大空襲を生き延び田舎に疎開した彼女にとって、あの時代の人々がおしなべてそうであったように、皇室はとりわけ特別な存在であったのだ。
     敗戦というかたちで戦争が終わり、名前だけかもしれないと思った平和が、どうやら本物の平和な時代になったような安堵感、そして皇室が厳然と残ったという喜び、それらの証明として皇太子の結婚がまるで我がことのように心弾む出来事であったに違いない。

     母の中でそれは皇太子様のブームだったのだ。

     昭和の皇太子が平成天皇となりそしてまた時代が遷ってゆこうとしている。
     
     あの日あの時、旧貧乏士族のなれの果ての末裔、プリンスになった子せがれ。
     夢も希望もあったそんな時代のひとこま。


     






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    コメント

    非公開コメント

    No title

    お母様、士族でいらしたんですね。あのころは物がない時代で、それだけにお母様の気持ちが痛いほど分かります。でも、ほのかに懐かしいですね、あの時代・・・v-82

    Re: ピオの父ちゃん 様

    父ちゃんありがとうございます。

    士族といいても母の先祖がそうであったというだけで
    末裔にはなんの関係もありませんでしたが
    母の時代にはまだそんなことを言っていたのですね。

    飽食の時代に生きている今から見れば
    ほんとに貧しかったと思います。
    田舎に住んでいたのでなんとか自給できるものはありましたが
    でも暮らしそのものはけっして豊かではなかったような記憶があります。

    しかし視点を変えれば心は貧しくなかったと言えますね。
    夢と希望だけは手のひらからこぼれるほどキラキラ輝いていたような気がします。

    No title

    ちい公さまの
    お母様のお話を読むにつけ
    その当時のお母さんたちは
    「我より子ども(他者)」のように思います。
    自戒せねば~

    Re:つばさぐも 様

    こんにちは

    うちは片親しかいなかったので
    それもすこし特殊で
    なので母はとくに自分がしっかりしなくてはという思いが
    つよかったのだと思います。

    つばさ様はよいのですそれで
    フワフワと
    なんせ雲なのですから・・・
    雲のような奥様って素敵じゃございませんこと

    No title

    私も子供の頃このセーター持っていました。好きでなかったのでほとんど着なかったです。

    Re: ReikoJanvier 様

    こんばんは
    いつもお世話になっております。

    > 私も子供の頃このセーター持っていました。好きでなかったのでほとんど着なかったです。

    アハ、そうですか
    好きではなかったのですか
    私にはよそ行きのセーターだったような記憶があります。
    だいたい山の中ではきれいな服を着て遊ぶような場所はありませんでした
    ( ノД`)シクシク…



    ちい公

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    空ゆく雲のようにいつも自由でありたい。もとノラのちい公がお届けするごく私的な日常と愛する国そして人々への思い