FC2ブログ
    にほんブログ村 ライフスタイルブログ 自由人へ

    男と女 恋模様②

    日々のドキュメント 旅  アジア 
    04 /03 2019


      この世には男と女だけ・・・。
     そんな書き出しが通用したのはむかしの話。
     
     そのどちらでもない人々の存在を忘れてはならいし否定してはいけない。
     第三の性を持つ人々をどう位置付ければよいのか、そういう問題をここで論じるつもりは毛頭なく、ただ今日書くのは筆者の近しいところで現実に起きたお話。

     ある一家。
     夫婦と二十歳前の娘と二歳下の息子との四人暮らし。
     
     父親は大病院の救命士、母親は何もしなくてよい暮らし向きではあったが家の近所でヌードル屋を開いている。
     娘はどちらの血を濃く受けついだのか外国の人形のような目鼻立ちのはっきりした美人で、弟もおよそタイ人にはみえないハンサムボーイ。

     娘が結婚したいと連れてきた男、ひとまわりも違う男でバツイチだという。しかしタイでは離婚歴の有無はそれほど問題にはならない。
     要は収入が安定しているかどうか、それが大切で、相手は郵便局勤務だったのでどちらかといえば生活の心配はなかった。

     二人は親、親戚、友人たちに祝福されて結婚した。
     あたくしもそばで見ていた一人だが、娘が結婚したこの男、人当たりもよく明るくて、ときどき一緒に酒を呑んだりもした。

     ただひとつあたくしの心中ひそかに危惧があったことを述べなくてはならない。

     この男は他の多くのタイ男とおなじくかなりの女好きだった。 
     あるとき、若い女性でそれも美人が多くて評判だという店に行った。こちらは取材も兼ねていたので飲み代はすべて払うという条件で連れていってもらった。
     大きなクラブで東京の有名な地名が付いていた。
     なるほどたしかに若くてきれいな女の子が多いようで、モデルと見まがうようなホステスがそばに座った。

     話を聞いてみると、その女の子たち全員が外でのおつきあいオーケーだという。
     タイでよくあるシステムの店。
     
     一緒に行った新婚男は興味深々で、しきりにこちらに向かって女性を選べとすすめた。
     もちろんそんなつもりもないので断ったが、いつまでも未練がましい態度をみせる男に、先行きの不安を感じた最初だった。

     第一子が誕生したころから彼ら夫婦の雲行きはあやしくなっていたようだ。
     そのうちに酒や女の問題が起きた。その女というのがむかし別れた女房でいわゆるヨリが戻ったという話。二度目の妻が若すぎたというが、そんなことは問題にはならない。

     あたくしも彼女の出産前に家に泊ったことがある。
     ちょうどなにかの問題で口喧嘩をしているのを見てしまい、妻の方の激しい口調にただならぬものを感じた。

     そんな二人が離婚したと人づてに聞いた。子供が生まれて間もなくのころだった。

     彼女が住んでいたのは親の家だったから住まいに困ることはなく、乳飲み子を抱えてという苦労もそれほどなくやはり実母の存在は大きかったようだ。
     その後、田舎町で会社勤めをしていたがもっと稼ごうと日系企業も多いチョンブリーというバンコクにほど近い町へ出た。もちろん子供は田舎の両親に預けていた。

     筆者もいくどか彼女とメールなどでやりとりしていたが、ときどき送ってくる写真の様子が気になっていた。
     うまく説明できないが、派手というのではなく、しかしメイクが変化したようだった。仕事は工場ワーカーなので写真はプライベートタイムのものだろうが、記憶にある彼女の面影はわずかしかなかった。
     若者がアニメのキャラに変身したような、見ているほうには違和感しかなく、なにがあったのか気にはなっていた。

     それから数年が経ち、その田舎町で知人たちに会う機会があった。
     あの人形のような女の子の近況を聞いて驚いた。

     同棲してるという。
    「相手はトムだよ」
     もう長いという。
     トムボーイと一緒に暮らしているのか。
    「二人で帰ってきたこともあるよ。子供がこちらにいるからね」
    「親たちどうだった?」
    「どうって、なにもないよ。しかたないさ、親だからといって幸せにしている娘に何も言えないでしょう。みんな幸せになりたいんだから。聞いてみると男に失望したみたいだった。あいつが悪いんだ」
     別れた男の名を言った。
     そういう知人もバツイチで目下独身だ。
     みんな幸せになりたいのだという言葉はこれまでにも何度か耳にした。彼らタイ人、とくにあまり豊かではない地方の人が言うと重みがある。
     
    「あの娘はいい子だったのに、どうしてタイの男はあんな娘を大切にしないのかな」
     あたしが言うと、
    「なんでチイさんが声をかけてやらなかったんだ。彼女は戻ってくるたび親たちとあなたの思い出話をしていたらしいよ」
    「何を言ってるんだ。あたしはトムじゃない、レディーボーイでもない、おまけに甲斐性もない」
    「アハハ、最後のはね、金がなくてもイサーンの女は働き者だから食わせてくれるよ、まじめにさえしていればいいのさ」
    「でもそれができないのかお前たちは」
    「アハハ アハハ」

     このあとの話でもう一度ひっくり返りそうになったのだが、これはいずれまた続編で書きましょう。


     
      







    にほんブログ村 ライフスタイルブログ 自由人へ
    にほんブログ村

    コメント

    非公開コメント

    ちい公

    ようこそ! 
    空ゆく雲のようにいつも自由でありたい。もとノラのちい公がお届けするごく私的な日常と愛する国そして人々への思い