
サコンナコンのホテルも悪くなかった。
こじんまりとした三階建て、家族経営らしくホテルの名前の@SAKONでダジャレだがアットホームな雰囲気も良かった。
旅の計画段階で妻はホテルのチョイスにかなり気をつかった。なんせ気難しい日本人亭主なので旅の大切な要素であるホテルは快適でなければならない。
自分自身はそれほど意識してはなかったのだが、機嫌が悪くなると彼女には怖く見えるらしい。
いつかそのことを聞かされてからなにがあろうと起きようと妻の前ではいつも機嫌よくいようと決心していた。
たしかに一般的なタイ人と比べてあたしは自己主張が強いかもしれない。思ったことをはっきり口にすることが瞬間湯沸かし器にオーバーラップしたともいえる。
しかし長い間気楽な暮らしを続けてきたがゆえにしみついてしまった習性を変えるのもまた容易ではないことも確かだ。
ホテルに着いた日、夕方から近くのスーパーへ出かけた。
歩いて10分ほどの距離だがホテルの前は車の多い道路。そこを横断して向こう側を歩く。
道端の飲食店そして歩道上の屋台などが準備をしている。
どの町でもそうだがタイの歩道はあってないようなもので歩きにくいことこの上ない。

ホテルからス^パーへ歩く
Google earthより

ピョンピョンと穴ぼこを避けて飛ぶように歩く。ときには排水溝のふたが落ちたりするから危ない。
ふと気がついて振り返った。
すぐ後ろに妻が見えた。
道路を横断するときはもちろん手を引いたりかばったりするが、歩道は二人並んで歩くのも難しい。
後ろからトコトコついてくる妻を見て、ふと愛しく思い、心がツンとなった。
人生と同じ。
ときには互いに水先案内を交代しながら歩くが、それでも彼女は夫を100%信じていつも前を向いている。
どれだけの時間ともに歩けるのか、それは誰にもわからないが、けっしてもう長くはないだろう。
いまある日々その瞬間を大切にして、たいしたことはできないにしても、いつも相棒を思いやることくらいは忘れないでおこうと、このときあらためて思った。
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