滝を観にゆく
ダムで長い時間遊んで太陽も西に傾いてきた。
最後にどこかもうひとつ行くよ、とトゥちゃんが言ってくれた。
女性チームはここぞとばかりにスマホで検索。
近くにあるのは滝と竹林らしい。
今日も暑かったので滝なんか涼しくていいんじゃないということになった。
ダムからほんの数分走っただけで着いてしまった。
トゥちゃんネンちゃん夫婦はパーキングのあたりで座ってると言い、あたしたち3人だけが観に行くことになった。
彼らはいつも車でばかり移動しているから歩くことに馴れていないのだ、そんなことを思って歩いていると滝への入り口にはすぐ着いてしまった。
暑いところに住むタイ人は往々にして水辺が好きだ。渓谷みたいなところで水があればどこでも人が集まり観光名所になっている。逆に言えばそれだけそのような清流の場所が少ないということなのだ。
日本は恵まれている。いたるところに清流があって、それがまた多すぎるものだから人はそれほど集まらない。めずらしくもなんともないのだ。
それにしてもここは人の気配がない。
夕方だからかもしれない。
そしてこの写真。

本来なら上のようになるはずだった。
滝というのは大げさにしても渓流があるはずだった。
長く雨がないためにすべて干上がってしまった。
観光客がいないはずだ。
トゥちゃんネンちゃん夫婦が一緒に来ないはずだ。

あたしは奥ちゃんに言った。
「君のスマホに富士山近くの白糸の滝があるだろう。それをすぐ見えるようにしておいて」
あの夫婦にみせてやるのだ。
みんなで大声で話しながら二人に近づく、
「ああきれいだったね。気持ちよかったね、来てよかったねぇ」
三文芝居に二人が食いつく、
「ほんと?」
「ほんとよ、これ」
白糸の滝を見せる。
彼らはほんの一瞬食い入るように写真を見て、それから笑いだした。

しかし沢へ下りる手前で見つけたもの
二本の木に花が
こんな場所に桜があるのかよくわからない
あたしには桜にしか見えないのだが



おいワン公 水がないと
どうして教えなかったんだ
だってそれを言うと
みんな売店の前まで行かないんだもん
オイラが怒られちゃうよ

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