感染者が日々増加しつつあるタイ。
妻の会社でも様々な動きがあるようだ。
まず彼女が口をとがらして怒ること。
それは彼女の配偶者が日本人であることでいろいろなセクション、同じ会社の厚生部門はもちろん付属の病院からも問い合わせが入り、最近配偶者がタイ・日本を出たり入ったりしていないかの確認とか体調を尋ねられること。
従業員、アウトソーシングを入れて3000人ほどの会社だが、日本人といえばあたしのことなのでそれなりに有名なのだ。
「私たちが日本から戻って何日経っていると思うの、そんなことを今頃心配するのなら帰ってきた2月の初めに言いなさい」
妻はそう言って怒るらしい。
オフィスの仲間たちは妻の怒声を聞いたことがないので驚いているという。
「それになに、ハズバンドが日本とタイを行き来しているからって、それがどうしたの。毎月行ったり来たりするほどお金持ちじゃないわよ、それに熱があるようなら私にうつすことを心配して戻ってこないわ、彼はそんなバカじゃないわよ」
ま、そりゃそうだ。
そんなことがあって、最近は社内でもいろいろ問題が起きているらしい。
別セクションンの一般ワーカーの女性が日本旅行から戻って14日間の自宅待機が終了した。
しかし出社してきた女性に対して無言の差別が始まってしまったのだという。仕事の仲間が近寄ることを恐れたのだ。
そのため再検査し証明書を提出させることによってどうにか村八分状態を解消したという。
そして今度は妻自身にも問題がふりかかってきた。
ある日、バンコクにいるエグゼクティブディレクターが自分で車を運転してやってきた。
そして言ったのは、とくに妻のセクションでオフィス規模を二つに分けたいということだった。
自宅でできる仕事ならそれもオーケーなのだが、オフィスが重要な供給部門であるため万一誰かがウィルス感染をした場合にオフィス機能の全滅を防ぐため、妻と妹分アムをヘッドにそれぞれ別オフィスに分かれてほしいということだった。
「笑うでしょ」
妻は半分呆れている。
「ネットワークケーブルも引かないといけないし、いまバンコクから工場の最終チームが移動中なのよ。最初は私が感染を疑われているのかとおもったけど、そうじゃなかったみたい。それにね今度入るビルの部屋はエグゼクティブ専用ルームが使えることになったの、絨毯敷きよ」
妻はケラケラと笑い、結局は自己防衛しかないのだからと元気に言った。
にほんブログ村