
名古屋駅は大きく、大阪駅よりも広かった。というのも新幹線は新大阪発着で大阪駅には来ない。在来線だけの大阪駅はそれほど大きくない。
荷物を提げてウロウロするのも面倒でロッカーに入れることにした。
男ふたり、さくらさんに従う。
そのさくらさんが猛烈に早く歩く。
背後を気にする様子もなくさっさと歩く。
これで小旗でもあればせっかちガイドさんにふらつきながらついてゆく田舎者おじいのツアーにも見えるがや。
かく言うあたしも元来は早足であったが早すぎるといつも叱られ、いつからか意識してゆっくり歩くようにつとめてきた。
とはいえかくも早足で歩く女性には出会ったことがない。
ゆったりとした女性のイメージが早くも崩壊か。
しかし信長や秀吉を生んだ土地。
母たる女性はやはり特別仕立てなのかもしれない。
息を切らして歩きながらそんなことを思った。
タクシーでまず熱田神宮の近くへ行く。
とっとちゃんが順番取りをしてくれているひつまぶしの店に向かうという。
あたし自身はみんなにおんぶに抱っこ状態。今日の予定がほとんど分かっていない。一か所だけ知立神社へ行ければそれで満足。
名古屋の街はほとんどなじみがない。
大都会であることはもちろんわかっているが、広々とした街に見えるのはなぜだろう。戦後の区画整理がうまく運んだのだろうか。
休日の朝。
普段はもっと車が多いのかもしれない。
進む方向にあまり高いビルは見えない。前方に目をやっていると極端な遠近法を用いた絵画の世界に入って行くような気がして、それが催眠術のように意識が遠くなりそうな予感を生じさせた。
もしかしたらこれは時空を超えるということなのか。
右手にこんもりとした森が見えてきた。
熱田神宮です、という運転手の声が遠くに聞こえた。
あ、そうか、結界の内に入ってゆくのだこれは。


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