
12月21日。
妹がとつぜんやってきた。
「あんちゃん今日は冬至だからこれ」
差し出したのは柚子。
「一個しかないけど、まあ気持ちだからまじないだよ」
「柚子湯か。長いこと聞いたこともないな。でも面倒だな、いつもシャワーだから」
すると妹は、
「いいじゃん、スライスして身体にこすりつけておけばおなじことよ」
さすがちい公の妹、いいかげんなものだ。
思いついた。
「半分風呂で使って残りは吸い物にでも使おう」
白身の魚で吸い物を作り柚子を少し浮かす。
「マメなことじゃね。料理を連想するとは」
あとで調べてみると、なんちゅうことだ、柚子湯ってのはまさしく柚子湯で、何個もプカプカ浮かんでいるではないか。
皆さんなんとゴージャスなことよ。
そうだ、そういえば、子供の頃、庭に大きな柚子の木があって風呂にたくさん浮かべた記憶がある。
しかし柚子なんてすっぱいだけで子供には何の魅力もない果実だった。大人になってこれほど料理を引き立てる貴重な食材になろうとは考えもしなかった。
そんなことで結局夜には湯を張って、面倒になったので一個そのまま放り込んだ。
なんちゅうことはない香りもしない。
お湯で温めたからといってあとで料理に使うわけにもゆかず複雑。
しかし風呂はよい。
日本人に戻った気分。
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