倒れ荘へ
三か月ぶりの倒れ荘。
いまはだれも空気の入れ替えをしてくれる人がいない。
なんと臭いことよ、これは住人の臭いかそれとも何かが発するものなのか。
古本のかび臭さでもなし何かの腐ったものでもなし、
こんな歌があった、
🎵 もう日に焼けた畳のにおい
いつもあなたの手を借りた
背中のボタンがとめにくい 🎵
こちらのほうがぴったりくるか
🎵 西陽でやけた たたみの上
あの人がくれた花瓶
別離た日から花も飾らずに
淋しくおいてある 🎵
しかしいずれにせよ ここに畳はない。
オーストラリアのNoahちゃんは数か月の留守中換気扇を回しておくといっていた。
うちの換気扇はキッチンとバスルームだけでキッチンはゴウゴウとすごい音だしバスルームの換気扇は古びてどこかやばいノイズがあるのでどちらもこわくて三か月もまわしっぱにしておけない。
まあしかし、と考え直した。
もし自分がここで孤独死などしていたならこんな臭いではすまないだろうな。
あ、そうか自分は孤独死などの心配はないのだ。日々の定時連絡は南極越冬隊もびっくりの確実な業務なり。それでもし私と連絡がつかなければ弟がおっとり刀で駆けつけてくるという段取りになっている。なので腐敗する心配もまずない。それどころか虫の息のところを発見され一命をとりとめる可能性だってある。
まあしかし臭い部屋だ。
窓を開け放ちあちこちにファブリーズをまき散らす。こんなもの決して良くないのだが背に腹は代えられない。
なにも食うものがない。
のろのろとコンビニへ。
玉子、おにぎり、ハイボールなど買い込む。
狭くて臭いけれどもなつかしの倒れ荘。
これはこれで至福までもゆかないがフリーダムなり。
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