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    ちい公ドキュメントな日々

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    日曜読物 転載 イサーンの風にふかれて 77話



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     本日は都合により毎週日曜連載中の「イサーンの風にふかれて あの日あのとき」より第77話を転載します。


    77 池で死にかけ、家で死にかける

     夕方近くダンじいさんが養魚池で魚を獲るというのでついていった。

     浮かんでくる魚を狙って網を投げる。
     魚を一方に寄せるために竹ざおでパチパチャ音を立てろという。私はしばらく子供みたいに池の淵でパチャパチャやっていたがまどろっこしくなって池に飛びこんだ。

     飛びこんだはいいが腰くらいだと思っていた池が予想外に深かった。私の背丈より深いではないか。
     私は慌てた。ズボンもなにも脱がずに飛びこんだものだから足にまとわりついて思うように泳ぐことができない。おまけに私はすでにウイスキーをしこたま呑んでいた。動悸が激しく身体の自由がきかない。
     ……このままでは死ぬ。
     そう予感した。助けてくれと叫びたかったが、こんなところで醜態をさらすわけにゆかない。
     ……落ち着け!
     そう言い聞かせながら竹ざおを池の底に突き刺し、ゆっくり丘に向かって進んだ。ようやくのことで足が着いた。心臓がいまにも破裂しそうなほど激しく動いている。
     こんな泥池で死んだとあっては末代までの恥さらしだ。危ないところだった。

     ズボンを探るとタバコもなにもかもポケットに入れたまま池に飛びこんでいる。いかに酔っぱらっていたかがわかる。

     それから数日後の朝だった。
     起きてみると右腕に五百円玉くらいの赤い斑点が二つ。かゆい。蚊に刺されたのかと思ったがすこしちがうようだ。
     ブンばあさんが見せてみろという。
    「これは蚊ではない。多分毒蜘蛛に噛まれたのよ」
     こんなことを言っている。夜中にベッドに毒蜘蛛がくるのか。毒は毒でも毒女ならまだ扱いようもあるというものだ。
     痛くないか、気分は? 痒いか? いろいろ質問され、じいさんまで呼んでくる。

     私は不安になった。このまま死ぬのではないか。
    「私が死んだら骨の半分はここに、そして半分は日本に送ってくれ」
     こんなことを冗談半分に言ってみた。
     しかし、みんな笑わない。
     じいさんが剃刀を持ってきて赤くはれた部分を切開するという。毒を出すらしい。
    「おいおいほんとかよ。冗談だろ」
     しかし冗談ではなく。私は手術された。

     じいさんは多くを語らないがこうしておかないと一年後に死ぬのだという。ウソかまことか、私は神妙な面持ちでしばらく口を開くことができなかった。あと傷口に青いレモンをこすりつけられた。なんの意味があるのか理解できないがされるまま私はながめていた。
     そしてメンタムみたいな軟膏で治療は終了。明日になっても変わらないようなら病院だと宣告された。

     おかげで傷口は赤みも薄れてきた。
     しかし頭にすこしばかり毒がまわったかもしれない。以前にもまして突飛なことを考えたり思いついたりすることが多くなったようだ。

    テーマ:ドキュメント私小説 - ジャンル:小説・文学

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